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なにか、ふとももに黒い点が見えた気がした。
こんなところに黒子なんてなかったはずだけれど、
ごく近くしか視界に入らない。
それが血のしずくだと気づいても
どうしてそこに滴っているものなのか…
私にはわからなかった。
今、身体がどうなっているかもわからなかった。
ただ無数のひきつりと、枷をいただいて重たい舌、
それから主が目の前で愉快そうになさっている気配だけ。
寝入る間際、主の右掌のきわに
私の血液がついているのを見て慌てる。
汚い。
主は、
「あぁ」と右肘を持ち上げて
自らの舌で拭ってみせた。
驚いて思わず見上げた主の目には
先程とはまた趣の異なる愉快気な色。
主の身体のどこに黒子があるのか
私はまだよく知らない。